自費出版の本

自費出版の本

肘折温泉での湯治スタイルは人それぞれ。温泉とともに周辺の自然をゆったり散策したり、いくつもの旅館のお風呂を堪能したり。読書や書画を楽しんだり。もちろん部屋にこもって安眠を貪るのもよいでしょう。千葉から『木村屋旅館』に通っていたあるお客さまは、1ヵ月の湯治生活中、部屋で郷土史を書いて過ごしたそうです。ご主人・木村裕吉さんは、お客さまが肘折で書いて自費出版した〈本〉のコーナーを設けています。「有名人でなくても、肘折でこつこつと書かれた本は大切にしたいし、他のお客さまにも読んでいただきたい」と木村さん。昔から多くの歌人や画家が訪れた肘折ですが、ゆったりとした時間のなかで自由な創作を打ち込むのは、何もプロだけの特権ではありません。都会の喧騒や仕事から離れて、自費出版の本内省の創作を楽しむのも、きっと〈湯治〉なのです。