近岡善次郎 作『カネヤマ商店』
『カネヤマ商店』はいつも賑やか。店内の椅子にはいつも浴衣姿の湯治客が腰を下ろし、世間話に花を咲かせる温泉街の社交場のひとつです。お店は郷土色豊かな食料品やお土産物、お酒や日用雑貨などを扱っていますが、商品棚の中にさりげなく飾られている一枚の絵があります。作者は近岡善次郎。描かれているのは昭和30年頃のカネヤマ商店で、茅ぶき屋根が印象的です。ご主人の須藤修一さんによると、新庄の個展会場でこの絵に偶然に出会ったそうです。会場にいた近岡画伯に「なぜ我が家を描いたのですか?」と質問したところ「あなたの店の茅ぶき屋根の格好がとても良かったので」と「嬉しい一言をいただいた」とのこと。「当時の写真があまり残っていないので、油絵にしてもらえてすごく嬉しいですね」と、今でも家族の宝物として大切に飾られています。