昭和40年代の肘折の写真
ある日、『葉山館』に1通の手紙が届きました。届け人は東京に住む常連客の娘さん。厚みのある封筒をご主人の三原さんが開けてみると、手紙と一緒に古い写真がどっさり入っていました。このお客さまは戦時中に肘折に疎開し葉山館で2年ほど過ごした方。終戦後は肘折の常連客になり、当時とても高価だったカメラで温泉街のあちこちを撮影していたそうです。封筒に入っていたのは、昭和30~40年代に撮影された古い写真。茅ぶき屋根の旅館や、木造だった頃の共同浴場『上の湯』や『永大橋』などの失われた懐かしい風景…すでにこのお客さまは亡く、娘さんが遺品を整理していて見つけた写真の束を送ってくださったのです。時をこえて届いたこれらの写真たちを、葉山館ではかつての肘折の、また亡くなったお客さまを偲ぶ品として大切に保管しています。