近岡善次郎 作『山の湯宿』
『つたや肘折ホテル』の本館に飾られている一枚の水彩画―在りし日の肘折温泉を淡い色彩で描いたこの絵は、ある常連のお客さまにいただいたもの。先代の柿崎繁雄さんの話によると、今から40年前、1人のお客さまが米沢で開催されていたチャリティーバザーを覗いた際に、ある風景画に目を留めました。よくよく見てみるとその水彩画には、自分が湯治に通っている肘折温泉の風景が描かれています。さらにサインを見ると、作者は東北を代表する洋画家・近岡善次郎と判明。お客さまはすぐに絵を買い取り、贔屓にしているつたや肘折ホテルに譲ってくださったそうです。絵は現在の長南精肉店を背にした場所から描かれ、当時はまだ茅ぶき屋根だった商店や旅館が立ち並んでいて、往時を偲ぶ懐かしい絵として古なじみの湯治客に喜ばれているそうです。