お風呂場のお地蔵さま

お風呂場のお地蔵さま

「傷に良く効く」と評判の『亀屋旅館』のお風呂。その浴場の一角に、60年ほど前、とある湯治客が寄贈したという、小さなお地蔵さまがいらっしゃいます。重いリュウマチを患っていたそのお客さまは、医者から肘折温泉を薦められ、亀屋旅館で半信半疑で湯治生活をスタート。はじめのうちは全く変わる気配がなかった身体は、温泉によって徐々に和らいでいき、最後には完治に至ったそうです。お風呂のお地蔵さまは、お客さまから亀屋旅館への感謝の意を込めて贈られたものなのです。ところでこの石のお地蔵さま、お湯の成分で少し表面が溶けてしまっているのですが、お腹をよく見ると「千北埜」と彫られています。これは〈末永く亀屋旅館が繁盛するように〉という意味。お風呂場のお地蔵さま寄贈したお客さまの、亀屋旅館への深い感謝の念が伺えます。