近岡善次郎 作『肘折の風景』
1914年に山形県新庄市に生まれた洋画家・近岡善次郎は、東京文化学院を卒業後、美術団体『一水会』の設立に携わり、以降重要なメンバーとして活躍しました。1943年頃からはじめた全国300カ所以上を取材する『明治西洋館』シリーズは高い評価を受け、切手の原画などにも採用されました。同じ山形出身の洋画家・真下慶治とは旧知の仲で、真下の誘いで肘折温泉を訪れるようになったといいます。2人で肘折温泉に来てはイーゼルを屋外に立てて油絵を描き、互いの絵について批評し合った近岡と真下。口数の少ない真下とは対照的に、近岡は外交的で、彼らが旅館に宿泊しているときは、とても賑やかに肘折温泉街を歩いていたそうです。ゑびす屋旅館では近岡の初期作品『肘折の風景』が飾られている他、宿の主人に宛てた礼状なども見ることができます。