稲田黄洋 作『色彩魚拓』
鮮やかな色彩のなかで魚が泳ぎまわり、沢蟹が温かい日の明かりを求めて群れをなす…作者の稲田黄洋は『間接法稲田式色彩魚拓』の考案者で、肘折温泉には弟子の羽秋の勧めで訪れるようになったそうです。秋と冬の年2回、必ず肘折の『大穀屋』に逗留して魚拓の作品を作っていた稲田黄洋。当時、若旦那だったご主人の柿崎繁美さんは、黄洋に1日だけ特別に入門して、色彩魚拓の指導を受けたそうです。「稲田黄洋先生はとても優しい方で、魚拓のイロハを丁寧に教えていただきましたよ」と柿崎さん。黄洋は釣りの腕前ももちろん一級で、釣り竿や浮きを手づくりして、皆を驚かせたそうです。大穀屋で見ることができる黄洋の色彩魚拓のモチーフは、すべて肘折周辺の動植物。文字どおり、肘折の美しい自然を〈写し取った〉その作品は、廊下や客室に展示されています。