曲がっている樹々

曲がっている樹々

肘折温泉の樹々は種類を問わず、根元付近がぐねぐねと曲がっているものが眼につきます。一体どうしてこんなに曲がっているのか…。その答えは、肘折の〈雪〉にあります。肘折では、4月の初旬あたりまで雪が消えません。気温が緩むにつれ、雪は水分を吸収して、溶けながらもどんどん重くなっていきます。その雪の重みに引っ張られるようにして、樹々の幹は曲がってしまうのでした。5月になると、一部の日陰部分を残して、雪はすっかり消えてしまいますが、樹の曲がった部分は戻ることなく、そのままの状態で成長を続けるのです。雪に堪え、その身を捻りながらも立派に成長し、豊かな森をつくりあげる肘折の樹々。その逞しい姿に、肘折に暮らす人々を重ねてしまいます。曲がっている樹々雪に堪えているからこそしっかりと大地に根をはる肘折の人と樹々です。