湯治場に流れるスローな時間

湯治場に流れるスローな時間

もともと日本の温泉場は、病気を癒し、農作業の疲れをゆっくり取り除く〈湯治場〉として栄えてきました。しかし、今の日本の温泉旅行は〈観光〉の要素が強くなりすぎて、1泊2日でお湯に浸かり、食を楽しみ、周辺の観光地をめぐるという、慌ただしいものになっています。ここ肘折温泉では、そんな時代のスタンダードとは一線を画して、10日以上の逗留を前提とする湯治場の伝統を保持しながら、現代における〈湯治〉のあり方を模索しています。ここはとにかく〈お湯〉の効能が一番の魅力。ある常連客のおばあさんは「なんにもないのが、肘折の良さだよ」と話してくれました。遊戯施設や、何軒もの飲食店が入るような商業ビルはありませんが、代わりにあるのはお湯と自然、それから〈時間〉。湯治場に流れるスローな時間湯治はスローライフの日本版と言えるかもしれません。