ドキュメンタリー映画『湯の里ひじおり』
少子高齢化の余波により、惜しまれながら閉校を迎えた肘折小中学校。『湯の里ひじおり―学校のある最後の1年』は、閉校式までの1年を、湯の里・肘折の〈湯〉を中心に営まれる四季の暮らしを交えながら記録したドキュメンタリー映画です。監督を務めたのは鶴岡出身の渡辺智史さん。東北芸術工科大学で建築を学んだ渡辺さんは、在学中に赤坂憲雄さんの主宰する民俗映像プロジェクトに参加し、以来、山村の伝統的な農法や手仕事の映像記録に取り組んでいます。初監督の本作では、肘折に受け継がれてきた湯守たちの慣習や信仰はもちろん、都会からUターンしてきた若者たちの姿を丹念に取材し、カメラに収めた渡辺さん。閉校の現実に悲観することなく、かえって結びつきを強めて前向きに生きていこうとする、小さな村・肘折の人々の純粋さが胸に響きます。