バスの開通

バスの開通

小さな乗り合いバスが筏で最上川を越え、肘折温泉まで通じたのは昭和9年のこと。バスが開通したことで、温泉街は春から秋にかけて湯治客で賑わいましたが、日本有数の豪雪に見舞われる冬は完全に〈冬眠状態〉のまま。温泉街にお客さまの姿はなく、人々は旅館を閉じて、働き詰めだった身体をゆっくりと休めて、また来る雪解けの春に向けての準備をしたそうです。当然、整備されていない山道に除雪機は入れないので、冬の肘折は〈陸の孤島〉も同然。それだけに、冬期のバス開通は肘折の人々にとって悲願でした。昭和38年から肘折温泉までの道路整備がはじまり、翌39年には『ボンネットバス』が年間を通して肘折温泉街のバス停までの運行を開始しました。当時を知る温泉街の人々は、バスの開通「はじめて大きなバスが温泉街に入ってきた日の感動は忘れられないね」と声をそろえます。