『中通り』は普段着の肘折
銅山川沿いの『護岸小路』と、温泉街の目抜き通りの間には、裏路地が1本通っています。通称『中通り』。『若松屋 村井六助』の若女将・村井里歌子さんは「子どもを三輪車に乗せて、ぼうっとその背中越しに通りを眺めていたら、すごく良いなって思えたのです」と話してくれました。路地沿いには細い水路や裏庭、溶雪のための溜池などがあり、それぞれ旅館の勝手口に通じています。くねくねした路を巡っていると日曜大工をしている旅館のお父さん、野菜を洗ったり山菜を干しているお母さん、孫をあやすお年寄りに出会える… ここは普段着の肘折温泉。支え合いながら温泉とともに生きる人々の生活の息遣いに、里歌子さんは何とも言えない〈安心感〉を感じるとか。観光地の華やかさは無いけれど「また来たいな」と思わせる肘折の魅力は、この裏路地から発しているのかも知れません。