小松淵
肘折温泉への入り口で人々を迎える『小松淵(こまつぶち)』一帯は、今から約1万年前の噴火で生まれた溶岩ドーム(溶岩円頂丘)で、トロイデ型の小火山だったという説もあります。隆起した後、冷え固まった溶岩を銅山川の流れが削り、永い時を経て淀み淵となり、水面に樹影を映す現在の美しい『小松淵』となりました。切り立った黒い岩間に、満々とした翡翠色の水がゆったりと吸い込まれていくその姿は、ミステリアスな大蛇伝説を今に伝えています。溶岩ドームには階段があって、雪のない季節は登ることができます。頂上には可愛らしい展望台が据えられていて、『小松淵』周辺に自生する珍しい高山植物や、カワセミなどの野鳥観察も楽しめます。四季の繊細な移ろいを体感できる、肘折温泉の小さな名勝として人気の『小松淵』は、散策コースとして湯治客に親しまれています。