湯守の神を奉る『薬師神社』

湯守の神を奉る『薬師神社』

共同浴場『上の湯』の脇にある石段は『薬師神社』への登り口です。湯守たちの信仰を集めるこの神社については、建立の由来としてある騒動が語り継がれていました。さかのぼること約200年前、湯治場の〈生命線〉と言うべき『上の湯』の温泉が完全に止まる大事件が起きました。困り果てた村人が源泉を掘り下げたところ、1つの石が出てきました。持ち上げるとお湯は再び湧き出したそうです。源泉に栓をしていたこの石、よく見ると仏様か神様のカタチをしています。驚いた村人は石を携えて京都に赴き、専門家に鑑定してもらうと「これは薬師様であるから大切に奉りなさい」との結果。人々はすぐに『上の湯』の上に社を建て湯守の神を奉る『薬師神社』〈湯の守り神〉の御神体として安置したそうです。以来、肘折ではこの薬師神社を〈湯坐神社〉と呼んで大切にし、毎年8月20日に『湯坐神社祭』を執り行っています。