山菜採りの達人『横山栄吉さん』
肘折温泉の春は、多種多様な山菜の宝庫。今も昔も肘折の人々は雪が溶け出すと山菜採りに勤しんでいますが、なかでも〈山菜の達人〉と名高いのが横山栄吉さん。横山さんは肘折周辺の山の「どこに、どの時期に、何が生えているのか」を村の誰よりも熟知しているそうです。現在も健脚そのものの横山さんは、春になると片道二時間~三時間をかけて、鬱蒼とした山道に分け入り、見事な山菜を籠にたくさん入れて山を降りてきます。肘折の人々は「量も質も違う山菜を、あの人は採ってくる」と声をそろえます。かつては温泉旅館を営む人々も自分たちで山菜を採って料理し、湯治客に出していましたが、現在は専門の〈山菜の達人〉たちが活躍しています。滋味深い肘折温泉の山菜料理は、横山さんのような〈山菜の達人〉の、山での知識と健脚の賜物なのです。