山形県は月山の麓に、ひっそりと続いてきた肘折温泉。ここは今も昔もかわりなく、働き者の人々が身体の疲れを癒しに訪れる湯治場です。観光客の目を引くような、豪華なお部屋やお料理や、珍しいお土産があるわけではありません。それでも常連の湯治客たちに「肘折温泉の魅力とは?」と問いかければ、「ここのお湯はいいし、もう肘折じゃないと落ち着かないよ」と、笑顔を交えて話してくれる。肘折が愛される理由…それは、じっくりと「湯治」してはじめて感じられる不思議な効能。『ひじおり旅の手帖』は、美術大学を卒業したばかりの一人の若者が、温泉街に長逗留し、肘折びいきの老人たちや、温泉業を営む人々から教わった、そんなこの土地の魅力を書きためた手帖です。頁をめくれば、素朴で愛しい温泉地・肘折に息づく、素敵な【ひと】【もの】【こと】【ばしょ】に出会えるはず。きっとあなたも、肘折に来たくなりますよ。